偽ブランドは水際で摘発!


弁理士児嶋のブログ

令和4年10月22

商標登録の大きなメリットの一つが、輸入差止制度です。

これは、関税法に基づいて、

自己の知的財産権を侵害する物品の輸入を税関で止めてもらう制度で、

権利者が税関に輸入差止を申立て、税関が認定すると発動する仕組みです。


差止実績は、年間3万件に達していますが、

このうち97%が商標権の侵害品、いわゆる偽ブランド品なのです。

これは、特許権や意匠権の侵害判断が税関職員には難しいのに対し、

商標権の侵害判断は一目瞭然であることも多く、比較的難しくないからです。


したがって、この輸入差止制度は、

商標権者にとって極めて有効な制度であると言えます。

この水際対策が有効であるという点も、商標権が最強の知的財産権たる所以なのです。


税関当局への申立には入念な準備を行うことが重要です。

まず、模倣品を入手して、模倣品の商標と自社商品の商標の類否判断を行います。

商標の類否判断は、特許庁の審査基準に準拠して行う必要があります。


そして、審査基準上も類似と判断される場合は、

通関しようとする模倣品を税関職員に見破ってもらうための識別ポイントを整理します。

その上で、商標専門弁理士を伴って税関当局との事前交渉に臨むのです。

その相手方は、例えば北海道であれば函館税関の知財調査官となります。


海外から流入する悪質な偽ブランド品に悩んでいる企業は、

輸入差止制度を活用すべきです。

そのためにも、その大前提として、

自社ブランドの商標登録を済ませておくことが大変重要なのです。