商標登録得られるメリット

 商標登録によって、御社はどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。


 商品名・サービス名・社名の商標登録によって、「商標権」が御社に発生します。

 商標権は、ブランドを独占排他的に使用することのできる、極めて強力な権利(知的財産権)です。

 その具体的なメリットは、主に7点に整理されます。


1)ブランドの独占使用

 登録商標(商標登録された商標)を使用できるのは、御社(及び御社がライセンスを与えた者)のみとなります。

 「使用」とは、御社が出願時に指定した商品・サービスについて、登録商標のブランドで販売・提供・宣伝などを行うことをいいます。


)模倣ブランドの排除

 御社の登録商標と同一又は類似する商標他人が御社に無断で使用した場合、御社は商標権侵害である旨の警告書を送ってやめさせることができます。

 大抵はこれで決着しますが、万一相手が応じない場合は侵害訴訟を提起して使用差止や損害賠償を請求すれば、さほど難しい立証をするまでもなく勝てます。

 さらに、故意による商標権侵害には重い刑事罰が課せられています(個人は10年以下の懲役及び1000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金)。悪質な模倣者は警察に被害届を出して検挙してもらうことも可能です。


)将来不安からの解放

 登録商標の使用について、御社は、ある日突然他人から商標権侵害を問われて使用差止や損害賠償を請求されるという不安から半永久的に解放されます。なぜなら、御社の登録商標と同一又は類似する商標を他人が商標登録ることは特許庁が認めないからです。

 「半永久的に」とは、御社が商標登録を10年ごとに更新し続ける限り永久に、という意味です。

 逆に、商標登録しない限り、御社は自社ブランドの使用を突然強制的にやめさせられるという不安から永久に免れることはないのです。


4)権利収入の獲得

 登録商標について、御社は他人に対し有償で使用許諾(ライセンス)を与えることができます。また、商標権をまるごと売却することもできますし、類似商標の使用について権利不行使の約束をすることもできます。

 商標権の価値(=ブランド価値)は当初はほぼゼロですが、御社が登録商標を長く使用すればするほど増大します。それに伴い、ライセンス料や売却価格もどんどん上昇していくのです。

 米アップル社が日本市場で「iPhone」という商品名のスマホを販売するために、半世紀以上前に「アイホン」という社名を商標登録していた日本の商標権者に億円単位の対価を毎年支払い続けていることは、業界ではよく知られたエピソードです。


5)商標登録表示の付与

 登録商標に商標登録表示(®️マーク、「登録商標」、「商標登録番号第◯◯◯◯号」等)を付けて使用することができます。

 登録商標ではない商標に商標登録表示を付けることは刑事罰をもって禁じられています(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)。

 商標登録表示で御社の商標が登録商標であることを誇示することによって、ブランド価値を向上させることができます。また、模倣ブランドの出現を未然に抑止することができます。


6)模倣品の水際遮断

 御社の商標権を侵害する模倣品の輸入を、全国の税関で差し止めてもらうことができます(無料)。

 この制度は特許権や意匠権も対象ですが、実際には、年間摘発件数約3万件のうち97%は商標権侵害品(偽ブランド品)です。

 商標権は、特許権や意匠権に比べて権利侵害であるか否かの判断が容易だからです。


7)ECサイトへの有利な出品

 御社の商品をAmazonに出品する場合、偽ブランド品や転売屋などへの対策に役立つ「ブランド登録」ができるのは登録商標のみです。

 楽天市場、Yahoo!ショッピング、メルカリなどでも、登録商標なら同様の権利保護サービスを受けることができます。


 以上の効果として、御社の商品・サービス及び貴社自身のブランド価値が向上します。

 その結果、市場における適正価格の維持や販路拡大などを通じ、持続的な売上増が期待できます。

 さらに、資金調達やM&Aなどの重要局面において、御社の企業価値の適正評価にも役立ちます。


 以上が、商標登録によって御社が得ることのできるメリットです。

 逆に言えば、上記のメリットを一つも得られないことが、商標登録しないことのデメリットです。