最強の知的財産権とは?
弁理士児嶋のブログ
令和4年7月23日
「最強の知的財産権」は何でしょうか?
特許権、意匠権、商標権は、
保護対象はそれぞれ発明、デザイン、ブランドと異なりますが、
いずれもその保護対象を独占し、他者を排除できるという点で、
とても強力な知的財産権です。
一方、実用新案権と著作権については、
審査を経ずに成立する権利であるため、権利の外縁が明確でなく、
ゆえに権利行使が容易でない点で、さほど強力な権利とは言えません。
話を戻して、
三つの強力な知的財産権である特許権、意匠権、商標権の中でも、
最強の知的財産権は商標権である、と考えます。
その理由は4つです:
第1に、商標権だけが、半永久的に存続できる権利だからです。
特許権と意匠権は、存続期間が終了すると消滅します。
特許権は出願から20年、意匠権は出願から25年です。
権利消滅後は一般に開放され、誰でも自由に実施できてしまいます。
これに対し、商標権は10年ごとに何度でも好きなだけ更新できるので、
事実上半永久的にブランドを独占し続けることができるのです。
第2に、商標権だけが、新規性がなくても成立する権利だからです。
たとえ公知の商標でも、他人に先に権利化されれば勝てません。
また先使用権をもってしても、商標権者による使用は排除できません。
敵に回すと最も恐ろしいのが、商標権なのです。
第3に、商標権は、水際対策が最も有効な権利だからです。
税関による知的財産権侵害物品の輸入差止は、年間3万件に及びます。
このうち97%が商標権侵害品、いわゆる偽ブランド品なのです。
特許権や意匠権の侵害判断が税関職員には困難である一方、
商標権の侵害は見ればすぐわかるからです。
第4に、商標権は、コスパに優れた権利だからです。
商標権は約12万円あれば誰でも手に入れることができます。
これに対し特許権は50万円以上かかる上、更新できません。
なお、最安は意匠権の約10万円です(ただし図面を自作する場合)。
以上から、
商標権こそが最強の知的財産権であると言えます。
したがって、企業が最優先で取得すべき知的財産権は商標権なのです。
ちなみに、本当は特許も意匠もできる弁理士児嶋が、
あえて「商標専門弁理士」を標榜する理由は、
最強の知的財産権でありながらいまだ過小評価されている商標権を、
日本中の中小企業に一刻も早く普及すべきである、との使命感に駆られたからです。
というわけで、
御社の大切なブランド(商品名・サービス名・社名)は、
直ちに商標登録し、最強の知的財産権=商標権で確実に守りましょう。