第2章のまとめ(商標登録で得られる7つのメリット)
第1節:自社ブランドを独占できる
商標登録をすることで、登録商標を使用できるのは商標権者とそのライセンスを受けた者だけになります。これにより、自社の商品・サービスを競合他社から容易に差別化できるようになります。これが、商標の最も基本的な機能である「自他識別機能」です。「使用」とは、そのブランドで販売・提供・宣伝などを行うことをいいます。識別力を持たない商標は商標登録が認められません。
第2節:模倣ブランドを排除できる
商標登録をすることで、登録商標と同一の商標や類似する商標を同業他社が無断で使用することを排除できます。この効力を「排他権」といいます。排他権の効力は商標と商品・役務の類似範囲まで及びます。模倣ブランドの排除は、まず警告書を送る形で行われます。相手が警告書に応じない場合は、商標権を行使して侵害訴訟を提起し、商標の使用差止や損害賠償を請求できます。
第3節:将来の不安から解放される
商標登録をすることで、自社ブランドの使用について、突然他人から商標権侵害を問われて使用差止や損害賠償を請求される不安から、半永久的に解放されます。商標登録しなければ、自社ブランドが使用できなくなる悪夢にうなされ続けなければなりません。将来不安からの解放こそが、実は企業が商標登録を行う最大の目的であり、最大のメリットなのです。
第4節:ライセンス料を獲得できる
商標登録をすることで、他人に対し有償で登録商標のライセンスを与えることによって、商標権が生み出す収入を得ることができます。専用使用権と通常使用権の他、独占的通常使用権などがあり、商標権を他人に売却することも可能です。契約の対価は登録商標のブランド価値を反映し、長期間使用し続けるほど膨らみます。ただし、高額買取などを目論んだ商標登録は適切ではありません。
第5節:商標登録表示を誇示できる
商標登録をすることで、自社ブランドの横に商標登録表示を添えることができます。商標登録表示は、ブランドが登録商標であることを示し、ブランドの信頼性向上などの効果があります。模倣者に対する警告にもなります。実務上はRマークが広く利用されています。虚偽表示には刑事罰が科されるため、商標登録表示は商標権者に与えられた特権であると言えます。
第6節:模倣品を水際で遮断できる
商標登録をすることで、税関による模倣品の輸入差止制度の恩恵を受けられます。制度上はすべての知的財産権侵害物品を対象としていますが、事実上、主に商標権侵害対策として機能している制度です。商標権侵害物品については、海外からの郵送による個人使用目的の輸入も取締りの対象です。商標権者は、税関に対し輸入差止を無料で申し立てることができます。
第7節:ネットで販路を拡大できる
商標登録をすることで、ネット通販で販路を拡大できます。国内のEC市場は拡大しており、中小企業・スタートアップが全国市場に参入するための有力な手段です。ただし、偽ブランド品などへの対策が不可欠です。主要な通販サイトには権利保護サービスがあり、商標登録が条件となります。本章で紹介した7つのメリットは、企業の成長や競争力向上に直接的に寄与します。