商標登録は、ビジネスにおいてブランドを保護するための重要なステップです。しかし、どの商標をどの形式で出願すれば良いか迷うことが多いでしょう。ここでは、商標のバリエーションや考慮すべき要素を簡単に解説します。
1.商標のバリエーション
商標にはいくつかのバリエーションがあります。それぞれの特徴を理解し、適切な形式を選びましょう。
・標準文字:特許庁が指定する普通の書体での登録。書体に依存せず、文字そのものを保護します。
・ロゴ:実際に使用する特定の書体でデザインされた文字。ブランドの視覚的な要素も保護します。
・マーク:図形やシンボル。文字を含まない、視覚的なブランド要素を保護します。
・ロゴマーク:ロゴとマークの結合。ブランドの全体的なイメージを保護します。
2.考慮要素
商標出願に際して考慮すべき要素はいくつかあります。以下の点を踏まえて検討しましょう。
・費用面:全バリエーションで出願すれば、確実で最強の権利が得られます。しかし、たくさん出願すればそれだけお金がかかります。
・排他権:称呼が同じなら、排他権の効力(類似商標の範囲)は原則同じです。よって、模倣ブランドの排除が目的であれば、どれか一つで出願すれば十分です。ただし、ロゴマークは称呼が非類似でも全体として紛らわしければ排除できる場合がありえます。
・独占権:®️マークの付与やライセンスの供与が認められるのは、登録商標のみです。例えば、ロゴマークで出願すれば、®︎マークを付与できるのはロゴマークのみとなります。この点、標準文字で出願すれば、比較的汎用性は高いと言えます。
・その他:マドプロ出願をする場合は、その商標が国内出願又は国内登録されていることが前提となります。
3.判断基準
以上を踏まえて、どの商標で出願すべきかを判断する基準を見てみましょう。
【標準文字か、ロゴか、ロゴマークか】
・ロゴ及びロゴマークが未定なら、取り急ぎ、標準文字で出願することをお勧めします。
・ロゴ及びロゴマークを変更する可能性があるなら、標準文字で出願することをお勧めします。
・ロゴ及びロゴマークを変更せず使い続けるなら、ロゴマークで出願することをお勧めします。
・®️マークを広く使いたいなら、標準文字で出願し、さらにロゴマークも検討することをお勧めします。
・ロゴ及びロゴマークの書体が難読なら、標準文字で出願し、さらにロゴマークも検討することをお勧めします。
【さらに】
・海外展開の可能性があるなら、ローマ字でも出願することをお勧めします。
・マークもブランドとして重要なら、図形の先行商標調査をした上で、マーク単体でも出願することをお勧めします。
4.まとめ
以上は一応の基準であり、実際には個別具体的に判断する必要があります。例えばロゴマークの図形と文字がどの程度分離可能かによって判断は異なります。
商標出願はブランド保護において非常に重要です。どのバリエーションで出願するかを慎重に考え、ビジネスの将来計画や使用状況に応じた最適な選択をしましょう。適切な商標出願でブランドの価値をしっかりと守りましょう。