商標登録とは、自社のブランドの半永久的でかつ独占排他的な使用権、
すなわち商標権を取得する手続です。
商標権はブランドを保護する権利です。
特許権や意匠権は存続期間が終了すると権利が消滅します。
これに対し、商標権は10年ごとに何度でも更新できるので、
事実上半永久的に存続する権利です。
そういう意味で、最強の知的財産権は商標権であると言えます。
商標登録は、商標単体ではなく、指定商品役務とのセットで登録されます。
役務とは、サービスのことです。
したがって、同一の商標でもセットとなる指定商品役務が異なれば登録が認められます。
例えば、ローマ字の大文字5文字で表記される「ASAHI」という商標は、
印刷物などを指定商品とする朝日新聞社と、化学肥料などを指定商品とする旭化成と、
油揚げなどを指定商品とする旭松食品によって、
同じ商標が別々に商標登録されています。
この指定商品役務について、特許庁はあらゆる商品役務を45区分に分類しています。
具体的には、第1類から第34類までが商品、第35類から第45類までが役務です。
この区分は国際分類に準拠しており、世界各国の商標法に採用されています。
なお、区分の数が増えると、それに従って費用も増えるので注意が必要です。
商標登録に要する費用についてはあとでご説明します。
商標とは、典型的には、商品名・サービス名・社名を表す文字やロゴマークです。
例えば、「SONY」は、文字からなるソニーの登録商標です。
「子黒猫を運ぶ親黒猫」は、図形からなるヤマト運輸の登録商標です。
「kao+笑う月」は、文字と図形の結合からなる花王の登録商標です。
このような文字と図形からなる商標は通常、結合商標又はロゴマークと呼ばれています。
このほか、レアな例として立体的形状、音、色彩なども商標登録が認められています。
登録要件、すなわち商標登録が認められるための主な要件は、
まず、商標に識別力があること、すなわち普通名称などではないことです。
例えば、指定商品「りんご」について「アップル」という商標は認められません。
しかし、指定商品「電子計算機」について「アップル」は商標登録されています。
アップルはりんごの普通名称ですが、電子計算機の普通名称ではないからです。
次に、商標が公序良俗などに違反しないことです。
例えば、猥褻な意味を表す文字などが法的な保護に値しないのは当然です。
また、外国の国旗や公的な紋章なども、公益上の観点から商標登録は認められません。
そして、先願主義です。
すなわち、同一又は類似の商品役務について使用する同一又は類似の商標が、
まだ他人によって先に出願されていないことです。
先ほどご説明した「ASAHI」の例は、商標は同一でも指定商品役務が非類似であるので、
三つの商標登録がそれぞれ認められたというわけです。
商標出願にあたっては、このような登録要件をクリアしているかどうかをまず吟味して、
いずれかの要件がクリアできない可能性が高い場合は、
出願する前に、商標の構成の一部を修正するなどの適切な対応をする必要があります。
そのような場合に適切な対応をお客様に提案できるかどうかが、
有能な商標専門弁理士の腕の見せどころであるのです。
また、商品・役務の指定範囲が狭ければ、商標権の効力は不十分となります。
逆に、指定範囲が広すぎれば、区分の数が増えて、無駄な費用が膨らみます。
狭くなく、かつ広すぎない。その絶妙な最適ラインを攻めようとする意識と技量が、
商標専門弁理士には求められるのです。
したがって、商標出願は有能な商標専門弁理士に依頼することをお勧めします。
弁理士費用を惜しんで自分だけで出願したりすると、ほとんどの場合失敗します。