他人の氏名を含む商標

弁理士児嶋のブログ

令和6年1月27

 最新の商標法改正によって、本年4月1日以降の商標出願には「他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和」が適用されます。

 現行の商標法では、出願した商標の中に他人の氏名を含む場合は、その他人の承諾がない限り商標登録を受けることができません(商標法第4条第1項第8号)。


 これは、世の中にいる同姓同名の他人の全員の承諾が得られなければ特許庁の審査を通らないという要件であり、この登録要件をクリアするのは事実上不可能です。

 したがって、特にファッション業界においては創業者やデザイナー等の氏名をブランドにすることが多いので、ブランド保護に支障をきたしていました。


 そこで今後は、たとえ他人の氏名を含む商標であっても、以下の1)から3)の全ての条件を満たす場合は、他人の承諾がなくても商標登録を受けることができることになりました。

 1)氏名に一定の知名度を有する他人が存在しないこと

 2)商標の中の氏名と出願人の間に相当の関連性があること

 3)出願人が商標登録を受けることに不正の目的がないこと


 とはいえ、「一定の知名度」、「相当の関連性」、「不正の目的」が当面どのように判断されるのかは未知数です。しかし、これまでの杓子定規な特許庁審査が柔軟化され、より現実的なものになることは確かだと言えます。

 ご自分と同姓同名の有名人がいない方は、この機会に、ご自分の氏名をブランド化して商標登録で保護することを検討されてみてはいかがでしょうか?