創業1周年の回顧と展望


弁理士児嶋のブログ

令和4年8月2

【感謝】

本日、児嶋国際特許事務所は創業1周年を迎えました。


まずは、この1年の間に私・弁理士児嶋を信頼して、

当事務所に仕事を依頼してくださったお客様お一人おひとりに、

深く感謝申し上げます。

お客様とのご縁なくして、当事務所が本日を迎えることは不可能でした。

本当にありがとうございました。


そのお客様を紹介してくださり、応援いただいた友人知人の皆様、

有益なアドバイスをいただいた経産省の先輩方や、同業の先輩方、

そして、不安定な事務所経営を辛抱強く見守ってくれた家族にも、

心から感謝の気持ちを伝えたいと思います。


【苦戦】

1年前の今日、希望に燃えて児嶋国際特許事務所を創業しました。

しかしながら、特に当初の半年間(昨年9月〜本年2月)は、

覚悟していたとはいえ、慣れぬ営業に苦戦を強いられました。


最悪の低迷期は、今年の1月でした。

頼みとする友人知人からの紹介案件は昨年中に一巡してしまい、

年明けからは、何をどうあがいても仕事が取れない日々が続きました。

この時期は先行きへの不安と重圧、そして自己肯定感の喪失により、

さすがにメンタルが弱りました。


とはいえ、落ち込んでいても事態は動きません。

仕事がなく、またコロナ禍で対面営業もままならないかわりに、

時間だけはあり余るほどあったので、

デジタルマーケティングの手法を研究し、試行錯誤を重ねました。

のような試みも自主責任で即断即決・即実行できるのが、

くだらない上司を持たない個人事業の最大の利点ではあります。


例えば、

事務所のホームページを作り込み、SEO対策のためほぼ毎日更新し、

インターフェイスの向上とコンテンツの充実を追求しました。

様々な商業サイトに、ホームページへのリンクを張り巡らせました。

信用を得るため、ホームページに恥ずかしくも素顔を晒しました。


FacebookやTwitterなどのSNS上で、知財情報の発信を続けました。

DMの文面に工夫を凝らし、面識のないフォロワーさんに送信しました。

Google広告を運用して、認知度の効率的な向上を図りました。

Zoomによるオンラインプレゼンの効果的な手順を研究しました。

YouTubeにも手を出しましたが、自分の滑舌の悪さに驚きました。


【好転】

こうした試行錯誤の効果が現れ始めたのが、2月の半ばでした。

友人知人からの紹介ではなく、かつ私の経歴を特にご存知でもなく、

純粋にネット検索で当事務所のホームページを見つけてご連絡いただいた、

完全新規のお客様からご依頼をいただくことが徐々に増えてきたのです。


そのような新規のお客様が、3月から5月にかけて、

次々とリピーターになってくださったときは、深い感動を覚えました。

これこそが、お客様商売の醍醐味なのだと理解しました。

このとき、事務所経営が軌道に乗りつつあることが実感できました。


6月には、それまでの反省と教訓から、経営方針を大きく改めました。

まず、SNS営業の軸足を、よりビジネス傾向の強いLinkedinに移しました。

また、経産局長や県警本部長などの過去の経歴アピールは、

他との差別化に少しでもつながればと考えて続けてきましたが、

弁理士の営業においては殆ど無意味であることを悟り、封印しました。


さらに、特許・意匠・商標の出願業務のみならず、

BCP策定や補助金申請や契約書作成や規制緩和など、

中小企業・スタートアップの様々な課題に幅広く対応いたします、

というそれまでのスタンスを見直し、「商標専門」に切り替えました。


集中

「商標専門」への転向を決断した理由は、

それまでの弁理士業務を通じて、商標権こそが最強の知的財産権であり、

故に、中小企業にとって商標登録が最重要であることを確信したからです。

また、一見シンプルながら実は考慮判断すべき要素が際限なくあるという、

商標実務の深遠な世界が私の性分に合っていると感じていたからです。


さらに、当時読み漁ったマーケティングの教科書の多くが、

提供サービスを特定のセグメントに集中する戦略を勧めていたからです。

そして、国内の出願件数を見ると、特許が年々減少しているのに対し、

商標はコロナ禍においても急増している成長セグメントであったからです。


とはいえ、創業以来「国際特許事務所」という看板を掲げながら、

いまさら仕事を商標に絞ってよいのか、という逡巡・葛藤はありました。

特に特許は、弁理士試験において死ぬほど勉強した得意科目であり、

また、既に実務経験もあり1件あたりの収入が大きい業務でもあるため、

これを自ら手放すことはそれなりに重い決断であり、賭けでした。


しかし、幸いなことにこの賭けは当たりました。

やはり人は、競合が乱立する都市部の士業に対しては特に、

「なんでも屋」ではなく「専門職」であることを求めるのでしょう。

6月以降、多くの新規のお客様から商標出願のご依頼をいただきました。

7月は過去最高に繁盛し、初めて業務多忙な状態が実現しました。

8月は後述する事情から新規営業を控えていますが、引き続き好調です。


このような状態で1年目を終えられることは、とても幸運です。

あらためて、全てのお客様に深く感謝申し上げます。

【展望】

9月から、弁理士児嶋は企業の一員となります。

企業様々な経営課題に内部から向き合う、貴重な機会になるでしょう。


児嶋国際特許事務所は、当該企業のご理解を得て副業として継続します。

今後、新規の仕事はどうしても制約されますが、

既存のお客様のフォローは従来と変わらず、確実に行います。


「この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もあろう。

しかし、所詮はこの道しかないのではないか。

ともかくもこの道を休まず歩むことである。」( 松下幸之助「道」)


「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。

踏み出せば、そのひと足が道となる。

迷わず行けよ、行けばわかるさ。」( アントニオ猪木「道」)


2年目の弁理士児嶋はこの道を行きます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

これからもよろしくお願い申し上げます。


令和4年8月27日

児嶋国際特許事務所

所長弁理士・児嶋秀平