マドプロ出願の概要

     「マドプロ出願」は、マドリッド協定議定書に基づく国際商標出願の略称です。


     各国の知財制度は「属地主義」を採用しているため、日本で行った商標登録は日本国内でのみ有効であり、海外では通用しません。したがって、海外展開を図る企業は、その国の制度に従ってその国で商標登録をする必要があります。


 海外で商標登録を受ける方法として、現地代理人を介して各国の特許庁ごとに直接出願することも可能です。しかし、この直接出願は手間とコストがかかるため、中小企業向きではありません。そこで、マドプロ出願の活用をお勧めします。


 マドプロ出願は、日本の特許庁に対し英語による一回の出願手続をするだけで、複数の指定国に同時に出願したことになる便利な制度です。世界のほぼ全ての国を指定可能です(ただし香港と台湾は不可)。各国語への翻訳作業や現地代理人の選定が不要となり、また、最長で1年半後には必ず審査結果がわかることが、マドプロ出願のメリットです(下図参照)。


 マドプロ出願に要する費用は、出願内容によって変動します。一例として、日本企業の模倣被害が特に多発している中国、韓国及びタイの3か国を指定国とし、指定商品・役務を1種類とする出願の場合、国際機関と各国特許庁に支払う料金は合計1511スイスフラン(約24万円)となります。これに特許庁料金(一律9000円)と弁理士料金(弊所は10万円)を加算した金額が、マドプロ出願にかかるトータル費用です。

解説)マドプロ出願に要する費用 >


 なお、商標登録は模倣品対策に不可欠な要素ですが、それだけで対策が完了するわけではありません。商標登録後は、定期的な市場調査を行い、自社の商標権を侵害しブランド価値を毀損する模倣品を発見次第すみやかに排除できるよう監視を続けることが重要です。

記事)小さな企業が海外市場でブランドを守る方法 >