例えば、「iPad」と、「iPad Pro」「iPad mini」「iPad Air」のように、
メインブランド(A)と複数のサブブランド(A+B)を使用して事業展開する場合、
サブブランドも出願すべきか否かは、以下の順序で検討されることをお勧めします。
1)原則
原則として、メインブランドの商標権ではサブブランドは守れません。
両者の称呼が2音以上異なる場合、非類似商標と判断されるからです(商標審査基準)。
この場合、メインブランドの商標登録(商標権)を所有していても、
・他人がサブブランドと同一・類似商標を出願すれば、登録(=独占)されます。
・他人がサブブランドと同一・類似商標を使用しても、排除できません。
(弊所取扱例)
「WOVE」(医業)vs「WOVE WELLNESS」(医業) ←権利者は別人
「Dr. iPS」(化粧品)vs「Drs. iPS Premium」(化粧品) ←権利者は別人
「法務参謀」(セミナー)&「法務参謀アカデミー」(セミナー) ←権利者は同じ
2)例外
ただし、以下の4つの場合は、メインブランドの商標権でサブブランドも守れます。
① メインブランド(A)が既に著名商標である場合
② サブブランドの(B)に識別力がない場合(地名、指定商品名等)
③ サブブランドの(A)と(B)が外観上一連一体でない場合(文字のサイズ、位置関係等)
④ サブブランドの(B)の称呼が1音である場合
①〜③の場合は、サブブランドの(A)部分だけが分離抽出され(判例)、
④の場合は、商標審査基準によって、
メインブランドとサブブランドは類似商標であると判断されるからです。
3)判断
上記2)に該当する場合:
あえてサブブランドまで出願しなくてもよいでしょう。
上記2)に該当しないが、サブブランドが事業にとってそれほど重要でない場合:
あえてサブブランドまで出願しなくてもよいでしょう。
上記2)に該当せず(又は微妙で)、かつ、サブブランドが事業にとって重要である場合:
サブブランドも出願することをお勧めします。
4)重要かどうかの判断
上記3)で、「重要」かどうかは、以下の3点を考慮して判断するとよいでしょう。
① リスク:サブブランドを競合他社に商標登録されてしまう可能性はどの程度あるか?
② ダメージ:その場合に、サブブランドを急に変更することに伴う損失はどの程度か?
③ コスト:サブブランドの保護は、商標登録にかかる費用に見合う価値があるか?
リスク x ダメージ > コストであれば、重要と判断します。
リスクとダメージを正確に数字で見積もることは難しいですが、
例えば、大体のイメージとして、
リスクが1割程度、ダメージが200万円程度、コストが12万円(1区分)とすれば、
10% x 200万円 = 20万円 > 12万円
となるので、そのサブブランドは御社の事業にとって重要です。
なお、通常、リスクとダメージは時間の経過(商標への信用の蓄積)とともに増大していきます。
(参考)
「iPad」「iPad Pro」「iPad mini」「iPad Air」は、いずれもアップル社によって商標登録されています。